くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
~龍神伝承
「仲直りできたみたいで良かったわね」
にこやかに美紀さんに出迎えられて、もしかしてあたしの気持ちや焦りがバレてた?と冷や汗をかいた。
だけど、野島……勇人は繋いだ手をはなさなかった。
浴衣の袖で隠して見えないようにしてたけど、確かにあたしの手をぎゅっと握りしめてくれてた。
なんか、照れくさいな……。
勇人とこうして手を繋いでるなんて、もし誰かに見られてないとしても、恋人みたいでこそばゆい。
美紀さんに声をかけられても、恥ずかしいからあたしは何にも答えられない。
緊張から手のひらが汗ばんできたら、勇人の手に力が籠もった。
“大丈夫だ”。
無言でそう励まされた気がして、ちょっと勇気が湧いたあたしは顔を上げて美紀さんを見た。
「ええ、おかげさまで」
野島はそう答えると、さっきあたしが登り損ねた神社の階段に向かった。
今度は勇人もあたしの歩幅に合わせて歩いてくれる。
そして、階段に上がったら、あたしと繋いだ手を袖から出して美紀さんの前に晒した。
「瑠璃香、気をつけて昇れよ。ゆっくりでいいからな」
勇人は優しく声を掛けながら、あたしを引っ張ってくれる。