くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



何度もシャッターを切る音が響いたけど、あたしは全然気にならなかった。


昔から写真は苦手で、できたら写さないでとお願いしてばかりだから、あたしの映ったアルバムは他の家族より少ない。


自分が可愛くないって自覚は保育園の時からあった。


隣にちょっとでもカワイイ女の子がいると、みんなの目はそっちを向くから。


いくら先生に繕ってもらっても、自分は他人より劣ってんだと幼心に感じてた。


大人は子どもだからわかんないだろうと思うかもしれないけど、子どもだからこそシビアに現実がキャッチできる。


あたしを見てくれる人は少なかった。


ふつうにカワイイ女の子がいれば、手前のあたしより遠くのその子に行っちゃう。


あたしが初恋とは言えない淡い憧れを抱いた小学生の時、相手はクラスのリーダー的存在の男の子。

その人だけは他の男子と違ってあたしを同じように見てくれたから、あたしはちょっとだけ期待したけど……。


ある日の放課後、忘れ物を取りに教室に戻った時、その人が掲示板に貼り出されてた遠足の写真を指差しながら、あたしのコトをキモいデブスって陰口言ってクラスメートと笑ってるのを立ち聞きした。


それ以来、あたしは男の子を信じなくなったし、必要以外の写真に写らなくなった。
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