くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「百日間行方不明だった瑠璃が龍神の鱗でできた装束を着、奇跡の歌声を得て竜宮より帰ってきた。
その評判を伝え聞いた領主が瑠璃を所望したのだが、実はその時領主の屋敷にはさる親王様がご滞在され、都に戻る前に話の種にと瑠璃と逢われたそうじゃが……その歌声に一度で惹かれた親王様は、瑠璃を連れて都に戻ると仰った。

領主は瑠璃を養女にして彼女と親王様が結婚すれば都へ出る足がかりになる、と無理やり瑠璃を養女とし、瑠璃は瑠璃姫と呼ばれる姫君へ出世した。

じゃが、瑠璃の胸の内には龍神への想いだけが溢れ、親王様へ嫁ぐための受領の姫として教育される毎日の中で密かに涙しておった。

そして、いよいよ都へ嫁ぐ前の晩。

瑠璃のもとにひとりの白装束を着た男性が現れた。

それこそ、龍神の化身。
龍神は約束を守り、瑠璃を浚い3日間誰もいない場所で過ごした。

当然ながら親王や領主は大激怒し、瑠璃の父親が成敗されそうになったすんでのところで瑠璃は帰ってきて父親を庇った。

しかし……

瑠璃の腹は乙女にはあり得ないほど既に膨らみ始めていた。

もちろん龍神との御子じゃ。
そして、不義密通の末に子を身ごもった瑠璃は親から勘当され、村から追い出された」
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