くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
~縁日
本殿で宮司さんから龍神伝承についての取材を終えた後、あたし達は縁日の露店で遊ぶために階段を下りた。
だけど、行きと違って勇人はあたしの手を取らず、ずっと黙り込んだままさっさと先に歩いてく。
どうかしたのかな?
思い返してみても、あたしは別に怒られるようなことをした覚えはないんだけど。
「野島くん、ストップストップ!」
美紀さんから声がかかってやっと勇人は足を止めた。
あたし達の近くにはヨーヨー釣りの露店。
色とりどりの小さなゴム風船に水が入ってるヨーヨー風船を流水から釣り上げる遊技。
「やっぱり縁日って言えばこれよね。さ~~挑戦してちょうだい」
なぜか美紀さんの方が張り切ってるし。
「勇人、あたしが先にやるね!」
なんかわかんないけど彼を元気づけたいな、と思ったからあたしは自分から先に水風船を釣って弾みを付けたいなと考えた。
昔っからこういうのは苦手だけど、いっちょやるしかないっしょ。
あたしだってやれば出来るんだからさ。
というわけで、あたしは店番のおじちゃんに美紀さんからもらったお金を払って紙で作ったこよりに引っ掛けた釣り針を借りた。