くるうみ。~あなたと過ごした3日間~





………………





「……まあ、頑張ったんじゃない?」


美紀さんが慰めの言葉をかけてくれたけど。


あたし……やっぱり絶望的に不器用なんですね。


水ヨーヨーを釣るどころか、その前に振り回しすぎて切れた紙こよりを手に呆然としてると、隣に人の気配がして店番のおっちゃんにお金を渡すのが見えた。


「しょうがねえな。……瑠璃香はどれが欲しい? 取ってやるよ」


勇人の声がした。


ちょっと面倒くさいな、って感じだったけど、それでもあたしの為に取ってやるよ、と言ってくれただけでも嬉しいや。


「あの朝顔の水風船がいいな」


あたしは遠慮せずに指さして勇人に希望を伝える。


朝顔柄の水風船はさっきより流れが速い外側の縁を回ってるから難易度がアップしてるし。


「よっしゃ、任せろよ」


勇人は水の流れを見ていたらなぜか元気になって、浴衣の袖を捲り張り切る。



「ホントに取れるの?」


あたしが隣で茶々を入れると、勇人はあたしを見ないまま反論した。


「よく言うよ。まあ見てろって!」


良かった。


なんかわかんないけどもとの勇人に戻ってる。


あたしも嬉しくなって勇人と一緒にはしゃいだ。
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