くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「へっへっへ。どうだ、スゴいだろ?」


勇人がいかにも鼻高々に水風船を掲げて自慢げに言うから、あたしはわざとらしい位に手を叩いて褒め称えてあげる。


「うん、すごいね勇人。180°くらい見直しちゃった」


「それ、褒めてんのか?」


水風船を差し出した勇人にあたしは当然と答えた。


「もちろん、褒め称えてます」


「それじゃあ俺が最低だったってことかよ……」


勇人はいじけてたから、あたしは肩をポンと叩いてあげる。


「なに言ってんの。あたしをシカトしたからとか、お弁当を食べなかったからとか、いろいろと恨みつらみはあるかな~とか覚えはいっぱいあるから仕方ないけどね。
とりあえず、水風船ありがと」


あたしは笑顔で勇人にお礼を言ったけど、ちょっぴり皮肉った言葉にやられたらしい彼は頭をクシャッと掻いてため息を着いた。


「……そう言えばそうだったな」


そして勇人はあたしに向けて手を差し出した。


「弁当、あんだろ? 食ってやるよ」


覚えててくれたんだ。あんな約束とも言えない言葉を。


あたしはじんわりと胸が暖かくなって涙が出るのを我慢した。


「うん。 はい、お弁当」
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