くるうみ。～あなたと過ごした３日間～
「ん～？ 何言ってんのか解んねえよ」


スキンヘッドがわざとらしく耳に手を当てる。


痛む足はもう力が入らずに動かない。


やだ……誰か助けてっ！


曾おばあちゃん！！


あたしが心の中で呼んだ刹那――


雲一つなかった空から突然に雨粒が落ちてきて、それはたちまち激しい雨へと変わった。


「わ、なんだあ！？」


スキンヘッドがあたしから目を離し空を仰ぎ見た瞬間、目の前で信じられないことが起きた。


金髪に捕らわれてた筈の野島が、いつの間にかスキンヘッドの腕を掴んでたから。


「てめえ、いつの間に！」


それには答えず、野島は無表情なままスキンヘッドの腕を音が聴こえるほど勢いよく捻り上げた。


「う、うわああっ！」


スキンヘッドはたまらずに悲鳴を上げ、あたしの腕を離す。


「てめっ！」


銀髪が雨の中で背後から殴りつけてきたけど、野島は腰を落としてパンチを避け、そのまま体を捻って勢いづいた拳を相手のどてっ腹に命中させた。


そして、隙を突いたはずのスキンヘッドの繰り出す拳をステップを踏むような足取りで軽やかに避け、回し蹴りを食らわしよろめいた相手の頭をガシリと掴むと、そのままギリギリと持ち上げる。
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