くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
ほら、やっぱりあるじゃない!


勇人の思い出ってどんなだろう?


あたしはわくわくしながら訊いてみた。


「ね、ね。 勇人はどんな風な思い出なの? 良かったら聴かせて」


「……あんま楽しい話じゃねえぞ」


あたしが身体を乗り出して懇願したからか、あまり気が進まない風な勇人も仕方なさそうに話しだした。


「前にも言った通りに、俺の親は小さい頃に亡くなって、物心ついた時には親戚の家に預けられてた。
その家じゃあ1日中手伝いをさせられたけど、飯は1日に1回なんて日も珍しくなかった。
よくあるパターンでいとこからはいじめられるし、叔父叔母からはいびられてたし。

だから、こうやってさほど美味くないもんでも十分に感謝していただけるってもんだ……いてッ!」


言わなくていいことを言った勇人にデコピンを進呈しました。


「だから、まあ。俺は食い物に不満はない。
だけど、ある日のこと……親戚の一家が夏休み泊まりがけで海に遊びに行くって話になってな、当然俺は連れてかれないと思ったんだ。
なにせ泊まりがけだから、わざわざ金を使ってまで連れてかないと思って」
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