くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



勇人は一瞬硬くなった表情であたしを見た。


……え?


「……幻影……俺が見えるのは、瑠璃じゃない。昔の山潮の海の底、翔る大空……そして、竜宮の様子。人間すら知らなかった山潮の歴史を見守った記憶」


「……勇人?」


勇人から淡い光が放たれる。青白い燐光。


そして、輝く紅い瞳。


纏うのは白き鱗?


そして、勇人の周りに白く細長いものが纏わりつく。


白い蛇に似てるけど、二本の角に鬣に髭、四肢に雲。


――あ。


思い出した。


勇人が不良たちと戦った時、雨の中で見えたその姿を。


あの時も勇人は燐光を放ってた。


けど、まさか勇人は――。


あり得ない予感に身震いが止まらない。


「……俺が見たのは龍神の記憶そのもの。初めて見たのはまだ物心つくかつかないかだった。
最初は怖くてよく泣いたよ。
そりゃあ子どもにすりゃ訳わからないよな、1万年もの歴史なんざ知らん事だらけで理解できないし。
だけど、泣くと叔母達にいびられるから、そのうち我慢するようになった」
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