くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「そんなうちに美代おばあちゃんに会ってこの不思議を話たら、それはたぶん山潮の龍神さまだろうって言われたよ。
山潮なんて一度も行った事ないし不思議に思ったけど、俺はおばあちゃんに頼まれた事もあっていつか瑠璃香に逢おうって決めた。
だけど、おばあちゃんには同時に言われたんだ。
たぶんあんたの中には龍神さまが宿ってる。
今はまだいいが、龍神さまの力の大きさに体が耐えられないかもしれなくなる、と教えてくれたんだ。
その時にお守りをもらったんだけど、それは叔母に捨てられちまったんだ。
俺が倒れたのがそのすぐ後。
そんで入院中は龍神と向き合ってよく解った事がある。

龍神は人の器に収まりきれるものじゃない、とね。

だから、俺は退院した時にはとうに覚悟が出来てたから、医者に余命3年もないと告げられても動じなかった。
あれこれ付き合ってきたから、今は自分の体がどんな状態か解る。
だから……悔いのないように過ごしたいんだ。
一瞬一瞬の今の積み重ねが堪らなく愛おしくて幸せなんだ」


勇人はしみじみとした口調で話した。
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