くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「人間達が一番エラいとか勘違いしちゃいけない。
俺たちだって生かして貰ってるんだから、謙虚さを忘れるなよ、瑠璃香。
この島の生き物達はこの島でしか生きていけない。俺たちは島から出れば幾らでも食い物はあるが、動物達はそうも言えないんだからな。
だから、自分の欲だけで物事を見るな」


勇人に諭されて、目から鱗が落ちる思いがした。


確かにあたしは自分たちの事しか考えてなかった……。


お金さえ出せば何でもてに入って我慢しなくていい現代社会の感覚で、あるものは全部自分のものと錯覚しちゃって。


大自然は本来誰のものでもないのにね。


「うん、そうだね」


摘んだ実を入れた袋の口をギュッと縛って手首にぶら下げる。


大自然の恵みを大切にしなきゃね。


勇人に心の中でお礼を言って、彼の歩き出した後に続く。


後はなだらかな丘陵地が続いてしばらく歩いた後、灌木を抜ければ小さな滝が見えてきた。


「うわあっ!」


あたしは勇人から手を離し思わず滝壷に駆け寄り、その澄み切った水に手を浸けてひんやりとした感触を楽しんだ。
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