くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
~海で
…………
!?
岩壁から滑り落ちたあたしは何か衝撃があると覚悟したのに、痛みも何もなかった。
ただ、がっしりと何かに受け止められた、その感覚だけは感じてた。
「……ったく、めちゃくちゃやるな、おまえは」
呆れたその声は、まさかと思ったけど。
「勇人……?」
怖くてまだ目をつぶったままだったから、確認のつもりで訊いてみたら、「おう」と返事が聴こえた。
「い、今あたし助かってる? どうやって助けてくれたの?」
なんかやけに体が揺れるなと思いながら訊けば、勇人はあっさり教えてくれる。
「俺が瑠璃香を片手で抱きしめて、もう片手で岩を掴んで宙ぶらりん。
そろそろ手が痺れて汗もかいてるしヤバいかな。
まあ心配すんな。何とかなるから」
…………
「ヤバいって、じゃあどうすんのよ!?」
このままじゃ2人とも崖下に真っ逆さまで岩に衝突しちゃう!
ドラマとかならここで
「わたしを離して! あなただけでも助かって」
「ダメだ! 一緒に助かるんだ」
なんてやるのかもしれないけど、生憎とあたしは勇人も大切だけど自分だって大事。
どうにかして2人助かる方法は……。