くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「ただし、捻挫を甘く見るなよ。酷くなると一生足を引きずるはめになるからな!」


野島に怒鳴りつけられ、あたしは反論を思いつかず言葉を飲み込んだ。


確かにそうなるのは嫌だ。


だから、不本意ではあるけれど、渋々野島の背中にしがみついたんだけど。


「ぐえ! 首絞めるな!」


勝手がわからなくてついつい野島の首を絞めてたし。


「あ、ごめん」


「肩に腕を回して体重をかけるんだよ」


「うん」


野島の言うとおりに前かがみになって胸に体重を掛けてみたら、なぜか一瞬やつの動きが止まった。


「どうかした?」


「…………」


なんか固まってる?


もしかしたらあたし、めちゃくちゃ重いかも。


「野島!」


耳元に口を寄せて思いっきり怒鳴ったら、なぜか野島の体がビクッと強張ったのが服を通して伝わってきた。


「あ……わりぃ。ちとぼ~~っとしちまった」


振り返らずにぼそぼそ言う野島の耳が赤く見えるのは、たぶん夕陽に照らされたせいだよね?


「あ~~ドッコイ! うわ、鈴本めちゃくちゃ重い!アタマはリスよりないのに体は象より重いかも」


余計なコトを言う野島のアタマをあたしは小突いてやる。
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