くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
今は真夏だから体がずぶ濡れでも平気なのがありがたいや。真冬だと凍えてたかもしれないから。


勇人が森の中に姿を消すのを見送ってから、あたしは胸に湧く不安を打ち消そうと精力的に動く。


どうして一時でも離れるとこんなに不安なんだろう? 一緒の時は平気どころかとってもとても安心出来るのに。


やっぱり勇人の寿命への不安なのかな?


どんなに頑張っても人間の体に龍神が宿るなんてムチャクチャな現実がどうも受け入れられない。


伝授とか血縁とか、今のあたしには関係ない。


あたしが何よりも大切なのは、勇人なんだから。


龍神なんて知らない。


瑠璃さんも


瑠璃香さんも知らない。


如意宝珠だって関係ない。


あたしはただ、野島勇人だから、野島勇人という人間だから大切で、彼だから惹かれたんだよ。


バカでちょっとスケベで口が悪いし意地悪なやつだけど、優しいし何でも知ってて何でもできてあたしの為に無条件で頑張ってくれるんだよ。


だから、惹かれたんだ。


あたしは、勇人だからこそ好きになれた。


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