くるうみ。~あなたと過ごした3日間~





なんだか不思議だな……。


今日まで野島の事はよく知らなかったのに、全然興味もなかったのに、こうしてこいつの背中におぶさってるなんて。


クラスにいる野島は、本当に地味で空気で……


喋らないから余計に居るか居ないか解らないくらい存在感がなかったから、こうやってしっかりと体を触れ合わせてるだけで、あたしには奇跡的な出来事にさえ思える。


野島の肩は思ったより広くて筋肉質で、あたしは意外に思えた。


着痩せするタイプなのかな?


それより、なんでだろ……。


黄金色の夕陽に包まれながらこうしていると、なぜか胸の奥底がキュッと締めつけられる気がした。


瞼の奥がツンと痛くなる……。


なんなんだろう?


野島とは今日初めて喋ったのに、こうしてるとなんとなく安心出来るなんて。


それに……。


……懐かしい?


形を成した感情を、あたしは思いっきり否定する。


バカみたい、それは絶対にあり得ないから。


あたしと野島の関わりはこれっきり。


助けてくれたのはありがたいけど、あたしはもともとこいつとは何の関係もないんだし。
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