くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

~最終話 おくりもの。







くるうみの最終日は土砂降りの雨が降った。


昨夜もう一度勇人と愛を交わしたあたしは、起きてから名残惜しくて洞窟の中を見渡した。


あたしと勇人が初めての夜を迎えた思い出深い場所。


離れたくないな、と思ったけど、起き出して顔を洗いに外に出てすごい雨に驚いた。


本当に今日梅雨明けするのかな?


走って急いで顔を洗ってから勇人の為に水を汲んで洞窟に戻ると、勇人が動いてないのに気づいてまさかと駆け寄った。


「勇人!」


呼びながら体を揺すってみたら「ん~なんだよ?」とのんきにもあくびまでするから、腹が立ってぺちんとおでこを叩いた。


「いてっ! 何すんだよ!!」


「それだけ元気あるなら大丈夫だね。はい、お水と昨夜の残りの魚。
体力付けなくちゃ3キロ歩いて渡れないよ」


あたしが朝ご飯を渡せば、それを見た勇人はニヤリと笑ってこう言った。


「そうだな、昨夜は瑠璃香も大胆だったから俺も体力を使い果たしたしな」


「もう、バカなこと言わないでさっさと食べちゃってよ!」


あたしは自分の顔が赤らんだのがわかったから、プイッと勇人から目を逸らして魚を頬張った。
< 293 / 305 >

この作品をシェア

pagetop