くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「鈴本が謝る必要はねえよ」
野島はあたしの頭にぱふっと手をおいた。
「自分をあんま責めんな。過ぎた過去を悔やむよか、明日のコトを考えた方が楽しいだろ?
俺がそうだったから、よくわかる。
自分を責め抜いたところで、どうしようもないこともあるんだ。
過去はいくら悔やんでも変えられないが、来るべき未来は……明日は自分の意志で変えられる。
明日のおかずは何かと楽しみにしてもいいし、アイス屋でまたトリプルを食べるのもいい。
とにかく、あまり自分をいじめるなよ」
野島はそう言いながら、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
その優しさはあたしの頑なだった心を溶かし、野島への気持ちを確実に前向きにさせてくれた。
ぽろぽろと涙が堰を切ったように流れる。
でも、あたしはこの時に涙を流すことが恥ずかしいとは思わず、ごく自然な事だと受け止めた。
……不思議……
野島の言葉は、なんてあたしに自然と入り込むんだろう。
今までひとことも交わす事のなかったクラスメート。
でも、野島の温かさはそれ以上の心地よさで、あたしは彼に甘えてしまってた。
その時野島が出した言葉の本当の意味を解ろうともせずに。
本当に、なにも……。