くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
近所で唯一トリプルアイスを出してくれるお店のカウンターで、あたしは幸せな顔をしてアイスを頬張ってた。
ラムレーズンにチョコミントにレアチーズ。
7月だから外は暑いけど、冷房の効いた室内で食べるアイスはまた格別!
ガラス張りで見える町並みは相変わらずシャッターが閉まったままのお店が多いけど、あたしはコレさえあれば幸せだわ。
「あんたって本当に単純だよね~。食い物に釣られて知らない人に着いてかないでよ」
……う゛……そこまでバカそうに見えた?
亜美にそう言われて、あたしはちょっと傷ついた。
確かにあたし、食べてる間は明石先輩のことすっかり忘れてた。
「い、いいでしょ!あたしの失恋祝いなんだから」
そう言いながら、あたしは首に下げたものを襟元から出してキュッと握りしめた。
「あれ……それまだ身に付けてたの?」
亜美がそれに気付いて手を伸ばしてきたから、あたしは一度外して彼女に渡した。
それは、淡いさくら色の貝殻に見える不思議なペンダント。
人差し指の爪くらいの大きさで、プラスチックでもないのに透けてる。
あたしが曾おばあちゃんからもらった形見の品だった。