くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



そして、家に戻ってから野島の事情をあたしがかいつまんで話した途端、苦労したんだねえと我が家中が号泣して、特にお母さんとお父さんは同じ年頃の子どもがいるからか、めちゃくちゃ同情して、その結果出た言葉が。


「うちに住みなさい。部屋はあるから遠慮せんと、山潮の人間ならみな身内みたいなもんだしな」


というお父さんの言葉。


ちょ……


ちょっと待てええいっ!


あたしの思惑をよそに、部屋ならやっぱり太郎の部屋を使うだの、荷物は俺が運ぶだのとずんずん話が進んでくし!


「ちょ……ちょっと待ってよ! なんでうちなのよ!? 居候するにしても、他のあてはないの?」


あたしが野島に訊けば、やつは頭を掻きながら
「う~~ん……山潮に来たのは高校に入る直前だから、知り合いは一人もいないんだよ」と言ったから、お母さん達の涙腺はさらに緩んだし。


「まあ……まだ高校生なのに可哀想な。うちで良ければいつまでもいてもいいんだからね」


本当に、うちの家族の人の良さは折り紙つきだわ。


そんなわけでその晩も泊まった野島は、朝早くアパートの荷物を運び出す為に一度帰った。


そして、あたしは親に命じられて野島の生活用品や新調する服選びに付き合うために商店街に来たんだ。
< 60 / 305 >

この作品をシェア

pagetop