くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
そんなわけで……っていうか。


男の子と待ち合わせなんて生まれて初めてで、ときめくものなのに……なんでよりによって相手があの野島なのよ!


いくらあたしの恩人で同級生とは言っても、やつとは恋人でも何でもないのに。


それでも女の子の悲しい性で、どうでもいいと思いながらもかわいい服を選んでしまう自分がにくい。


どうせなら、待ち合わせの相手が明石先輩なら良かったのになあ……


普段は絶対に着ないエメラルドグリーンのワンピースに、淡い水色のチュニック。
靴も普段はスニーカーだけど、コルク地のかかとが厚めなサンダル。

足首の痛みや腫れはだいぶひいたから、ムリしなきゃ大丈夫。


髪型もいつものショートカットにちょっとワンポイントで編み込み……すこしあいた胸元には曾おばあちゃんのネックレス。


日焼け止めは塗ってきたし、発汗防止スプレーにリップもしてきた。


……………


なんかあたし、必要以上に気合い入りまくり過ぎ?


これじゃまるで……。


自分で考えただけで頬が熱くなり、気を逸らそうと腕にはめたイルカ型のデザイン時計の文字盤に目を遣った。


時間は11時17分を指してる。
< 61 / 305 >

この作品をシェア

pagetop