くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「もう、なにしてんのよ……野島勇人のバカ!」


ぶつぶつ言ってると後ろから声をかけられたから、振り向けばそこにいたのは明石先輩で、心臓が飛び出すかと思った。


「……あ……鈴本さんか……ごめん」


誰かと間違えたらしく、先輩は焦った時のクセである両手を組み合わす仕草をした。


あたしにはわかるよ……仕草のひとつひとつがあなたのどんな感情を表すサインなのか。


先輩……あたしはずっとあなたを見てたんだもん。


想いは叶わずにダメだったけど……あたしは嬉しかった。


間違いでも先輩があたしに声をかけてくれた現実が。


先輩に精一杯のオシャレした姿を一番に見てもらえた事実が。


胸がほんわりと温かくて、幸せが広がってく。


やっぱりあたしは明石先輩が好きなんだ、と速くなる鼓動とときめきに思う。


先輩に何か話したいのに、唇がひっついたみたいに開かない。


野島相手ならいくらでも馬鹿な話ができたのに……。


焦ったあたしに、明石先輩から言葉をかけてくれた。


「本当にごめん、知り合いとここで待ち合わせしてたから……まさか君だなんて思わなくて」


知り合い……どんな?


あたしは訊きたくてたまらなくなった。
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