くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「あの……もしかしたら……カノジョと……ですか?」
なんて嫌なコトを訊くんだろ、あたしは。
あたしはただの後輩で、先輩のそんなプライベートに口出しする権利も理由もないのに。
そりゃあたしは先輩に告ったも同然だけど、振られたんだもん。
こんな変なコトを訊いたら、ますます呆れられ軽視されるかもしれないのに、あたしの中に湧きたつ何かがあたしを突き動かした。
恥ずかしくなって俯いたあたしの耳に、先輩の戸惑いが滲み出た声が届く。
「……いや……カノジョじゃないよ。女性と待ち合わせしてるのは確かだけど」
カノジョじゃないよ、と言われてパッと明るくなったのに、女性と待ち合わせと聴いてすぐ沈みこむ、正直なあたしの心。
きっと今はカノジョじゃなくっても、いずれはそうなるんだ……。
手にしたハンドバッグを震える両手でギュッと握りしめた。
イヤだ……見たくない!
先輩と知らない女の人が仲睦まじくしている姿を見るなんて!
あたしは表面で笑い繕いながら、心の中で野島に早く来てと叫んでた。
明石先輩の隣に立つ見知らぬ女性より、一秒でも早くと。
そうすれば、2人を見ずに済むから。