くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
だけど現実は残酷で、大抵は望みと正反対の結果がもたらされるんだ。
それも、望めば望むほどに。
「透、ごめん待った?」
歌うような、透き通った美しい声に惹かれて振り向けば、そこにいたのは20歳くらいのワンピースを着た女性。
たぶんインド綿を使ったオリエント柄のチュニックと、下はブーツカットのビンテージジーンズにエナメルのサンダル。
スリムなのにしっかりと女性らしい部分はあって、しかもナチュラルな薄化粧はぱっちりした目や深い顔だちを際立たせてた。
この辺りで見かけないけど、すごく大人っぽくて美人。
「あ、美紀。おそいぞ」
そんな彼女に、先輩はタメ口な上に名前で呼んだ。
こんなに親しげなら、言うまでもなく2人の仲は……。
「あら、透。この可愛い女の子はどなた?」
圧倒されたあたしは、女性が何を言ったのか理解するまでに時間がかかった。
「あ、彼女は部活の後輩で鈴本瑠璃香さん」
「瑠璃香さん、きれいな名前ね。ね、瑠璃ちゃんって呼んでいい? あたし、川瀬美紀って言うの。よろしくね!」
美紀さん……は親しげにあたしに握手を求めてきたけど、あたしはやっとの思いで左手を上げた。