くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
あたしが気になって頭に手をやったままチラッと先輩を見ると、なぜか先輩の顔が険しかった。


ヤバい……もしかして怒ってる?


調子に乗りすぎたかなあ。


あたしはなんだかイタズラを叱られた子どもみたいな気持ちになって、無理やり引き上げた気持ちがしぼんだ。


「どうしたの、瑠璃ちゃん?顔色が良くないけど気分でも悪いの」


美紀さんが心配してくれたけど、あたしはろくに返事もできずにうつむいたまま。


先輩は美紀さんが話しかけても喋らずにいて。


気まずい空気が流れるなか、ポンと背中を叩かれて振り向けば、今度こそ野島勇人だった。


野島はストライプのシャツとGパンとスニーカーっていうラフな格好だったけど、あの黒縁メガネはなく黒髪もすこしいじってウェブがかってる。

けっこう肩幅があるのに細身に見えるのは、背が高いからだと今気づいた。


先輩も決して低くはないんだけど、野島はたぶん軽く170は越していそう。


そして、やつを見た瞬間に不覚にもドッキリと胸が高鳴ったのは内緒。


中身はともかく、外から見れば野島はヘタなアイドルよりカッコいいんだもん。


だけど、絶対本人には教えてあげないんだから。
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