くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



「これ、お下がりだけど、うちの息子があまり着なかったシャツとかが入ってるから。それと、あたしが漬けた梅干しとお菓子が入っとるでな。梅干しは疲れに効くし、お腹が空いたらおやつに食べなさい」


キミコおばちゃんはそう言って野島に大きく膨らんだ風呂敷包みを渡した。


「はあ、ありがとうございます」


野島はかなり困惑してたみたいだけど、キミコおばちゃんは言葉を継いだ。


「なんか困ったことがあれば、遠慮なくいいなさいな。山潮の子ならうちの子同然だからさ」


キミコおばちゃんは、いつもあたしに言ってた事を野島にも言った。


……そう。


山潮の人間は変わらないんだな、と思う。


みんな手を差し伸べることを厭わないし、見知らぬ人にも人懐っこくて、疑うコトを知らずに信じぬく。


山潮の人たちは親に代わって知らない子どもを叱ったりぶん殴ったりするし、お年寄りには優しく、決して邪険にはせずにむしろ尊敬し敬われる。

子どももお年寄りも大切にされ、それぞれ果たすべき役割が必ず用意されているんだ。


かくいうあたも昔は面倒だし悩んだけど、今では月一にある海の清掃作業が楽しみになってる。
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