くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
うわあ……!
先輩と急接近しちゃいました。
カノジョがすぐそばにいるのに、いけないとわかってても胸がドキドキする。
あたしはほんのちょっとだけ、先輩の横にそっと体を寄せた。
みんなにはわからないくらいは。
ほんの1センチだけでもいいから、近づきたくて。
先輩の横顔をチラリと横目で盗み見て、相変わらずカッコいいから胸がときめく。
日本人によくある細い目で一重まぶただし、鼻も高くはないけど、スッとシャープなのにどこか力強いあごのラインが好きなんだ。
上背はあまりないし体格はちょっと細すぎるけど、先輩の指は長くてキレイで、この指で真っ白なキャンバスに色を乗せて世界を造り上げていく様子を見るのが好きなんだ。
先輩の真剣な眼差しにピンと張った背筋がとてもキレイで、あたしはその姿を見ただけで次の日は1日中幸せになれたんだ。
あたしは龍をそっちのけで夢中で先輩を見てたけど、先輩の口からは相反する答えが出された。
「この木彫りの龍が光っているようには……見えないね。僕にも薄暗くて輪郭ぐらいしか掴めないよ」
先輩はよくよく見てから慎重にそう導き出したんだと思うけど、あたしはなんだか寂しい気がした。