くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



知らない歌詞……


だけど、懐かしいなと感じる。


その伸びやかな韻があたしを捉えて離さない。


『……り……』


……え?


『……るり……』


るり?


『……起きなさい……るり』


るり……誰のこと?


まさか、あたしじゃないよね?


『るり……――さまが来るわよ』


誰? 誰が誰のところへ行くの?


『今宵で三日夜なのよ――おふみに……さい』





なに――……





……っ!!





パン、と頬に鋭い痛みが走って視界に美紀さんの顔が見えた。


「瑠璃ちゃん、大丈夫!?」


「あ……あれ?」


痛む頬に手をやって周りを見渡してみても、もとの部屋と何ひとつ変わらない。


「こっちも大丈夫なようだ」


明石先輩の声がしたからそちらを向けば、野島が腫れた頬をさすりながらぶつぶつ言いつつ起き上がった。


「……ってぇ。何も殴んなくてもいいじゃんか」


「済まないな、揺すったりしても気付かなかったから」


明石先輩は野島の傍らで謝ってたけど、あたしだけじゃなくヤツまでおかしかったってこと?


< 81 / 305 >

この作品をシェア

pagetop