くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
あたしは龍神像を見てハッと直感的に閃いた。
その名前までは知らないけど、龍がよく手にしてる珠がこの龍神像にはない。
「ねえ、この龍神って前足に珠みたいなの持ってないよね?」
あたしがさり気なさを装ったつもりで野島に言えば、ヤツは1人だけあたしに拍手をして思いっきり周りから浮いたし。
相変わらず空気読めないヤツ……。
「鈴本すげえ、正解! 思ったよりアタマはあるみたいだな」
すぱこお~~ん☆
中身のないスイカみたいな軽い音が響いた。
あたしが野島のアタマをお盆でど突いたから。
「ふん、何よ! あんたのアタマだって中身が詰まってない果物みたいな軽い音がするクセに」
頭を抱えた野島にあたしはそう言ってやると、プイッとそっぽを向いた。
「いってぇ! 何も殴るこたないだろが!」
またケンカが始まりそうな一触即発の雰囲気だけど、意外にもお婆さんが間に入ってきた。
「まあまあ、わしの作ったみそのジュースでも飲んで気を落ち着けなっせ」
あたしと野島にそれぞれグラスを差し出して、受け取るとお婆さんは言った。
「ケンカするほど仲がいい言うけんな、ケンカは相手が居てこそ出来るもんじゃけ。
その相手ば今ぴんひんとしておっても、明日は分からんもんじゃ。
今あるものがあたりまえと思っちゃいけねえだよ。
わしも、戦争で亡くしたケンカ友達や、旦那や両親には一生謝れんけんでな……みいんなワシを置いて逝っちまったからの……」
お婆さんはしみじみとした口調で言った。