くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

~初めてのプレゼント



「如意宝珠(にょいほうじゅ)って言うんだ、龍が持ってる珠って」


キミコおばちゃん家の居間でお茶を頂いた後、改めて雑貨店のお客として商品を見ながら野島が教えてくれた。


「にょいほうじゅ? 西遊記の孫悟空が持ってる如意棒みたいなものなの?」


西遊記なら簡単な設定位は知ってるから、思い付いた事を野島に訊ねてみれば、ヤツは頷いてそうだと答えてくれた。


「西遊記も中国の物語だから儒教や仏教の影響があるんだろうけど、如意宝珠や如意棒の“如意”には、不思議な力とか思うままになるとか言う意味があって、全てが備わる、全ての力の象徴とも言われてるみたいだな。日本の他にはチベット仏教なんかにも出るみたいだ」


「へえ……」


野島の博識に、あたしは素直に感心した。


ヤツは普段から本を読んでる姿しか記憶になかったから、知識はあるだろうなとは考えてたけども、高校生で宗教に関する本まで読破しているなんて思わなかった。


「野島って詳しいんだあ。ね、ならあたしの御守りになるようなアクセサリーとかアイテムとかないかな?」


あたしはさっきのケンカの事は水に流して、なるべく自然に話しかけるよう務めた。
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