くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「うわ、冗談きつい!あたし、野島くんはちょっと……」


あたしは慌てて手をぱたぱたと振ってみせた。


「だよね。あんたもドジだから……2人で一緒にいたら地獄絵図だわ」


亜美はしみじみした口調でコーンをかじる。


「なにそれ?ちょっとひどくない!?」


あたしがむくれてみせると、あははと笑った亜美はまたあたしのほっぺたを摘んだ。


あたし達だけに限らず、野島の評判はよろしくない。


そんな彼だから、アルバイトをしてたのは意外だけどなぜとかまでは考えず、あたしと亜美の話題はすぐ他に移った。


だけど、亜美が好きなアーティストの話題で少し興奮して手を振りあげた瞬間、あたしが渡したペンダントがその手から抜けて飛んでった。


「あっ、ごめん!」


あたしと亜美が一緒にペンダントを目で追うと……


よりによって、飛んでった先は南高の連中の足元にだった。

南高は山潮町で山潮高以外でもうひとつある唯一の高校だけど、不良が多いことで知られてる。


テーブル席に着いた男たちも例外なくみんな金髪や銀髪に染めたり脱色して、鼻や唇にピアスをしタトゥーまで彫った男もいた。
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