くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「まあ、家族っつうても実の親じゃなかったし。なんか親戚だったみたいでさ……物心ついた頃にはもう虐げられた生活してたからな。
家の手伝いはさせられたけど学校にも行けなくて、一日中朝から晩まで働かされて、飯は1日1度……他のヤツの残飯だったし。いとこからは苛められたし、叔父叔母からはよく手近なもので殴られたりしたしな。
まあゲンコツだけはよくプレゼントされたけどさ……。
誕生日を祝われたりクリスマスなんかにバカ騒ぎした思い出がないんだよね。
だから、鈴本のくれたこれ、俺にとっちゃ初めての宝物だよ。サンキュー!絶対に大切にするな」


そう言った野島はわざわざ巾着袋を買い求めて丁寧にアクアマリンをしまい、紐を通して首から下げるとニコニコと笑って持ち上げてて見せた。


「ば……バカみたい!」


あたしは野島のそんな笑顔に耐えられなくて、そんな言葉を言って顔を逸らした。


……なんでよ。


なんであたしがあげた意味のないものを、そんな大切そうに扱うのよ。


止めて! と叫びたかった。


誤解しそうになってしまうから。


そんな風にされたら、あたしも気になって仕方なくなるからと。


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