くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「いいえ。わたくしは幸せです……親からは勘当され親戚から縁を切られましても、村八分にされましても悔いはしませんわ。あなたを愛しこのややを授かりましたから。これ以上何を望むのでしょう?罰が当たりますわ」
男性の手に白く小さな手を重ねて瑠璃さんは答えた。
……親から親戚から。村八分になってもただひとりの人を愛したの?
わからない……
あたしにはわからない。
あたしは確かに明石先輩が好きだけれど、家族を捨ててまで結ばれたいとまでは思わない。
そんな風に誰かを愛するなんて……。
憧れではあるけど怖い気がする。
何もかも投げ捨ててしまうなら、それまで自分が築き上げてきたものを自ら放棄し壊す事にならないのかな。
周りを心配させ傷つけるなら、あたしはそんな恋は要らない。もっと穏やかな心地よさの恋がいい。
明石先輩とならきっと大丈夫……と思いながら自爆したあたし。
ダメだなあ……。
「瑠璃香ちゃん、瑠璃香ちゃん!」
え、先輩の顔が間近にあるよ……。
これも夢なのかな?
なら、好きにしちゃっていいよね、えいっ!
あたしは顔を上げて一瞬の隙に、明石先輩の顔に顔を近づけた。