予言と未来
☆
「ライネスお兄ちゃん、居ないなぁ。」
暫くコロシアムの中を歩き回り、リーは小さく呟いた。この広い会場で目的の人物を捜し出すのは、思ったより大変だったようだ。
諦めて、仲間達の所へ戻ろうと した時。
少し離れたトイレから、見慣れた金と黒のメッシュの髪が見えて、リーは慌てて其処へ走った。
「ライネスお兄ちゃん!」
呼び掛けると、彼は驚いたように振り返る。
「お前、何で此処に? 終わったのか?」
「うん、負けちゃった。御免なさい。」
「……何故 謝る?」
ライネスは僅かに眉を顰めて そう訊いた。
「……ライネスお兄ちゃん強いから。こんな とこで負けてばっかじゃ、僕、足手纏いだもん。」
「…………。」
ライネスは暫し沈黙した後、リーの頭を くしゃくしゃと撫でた。
「悔しかったんだろ?」
「うん。」
「なら良い。最善を尽くした証拠だ。」
「……うん!」
リーは満面の笑みを浮かべ、頷いた。