予言と未来
その言葉に、愛光は きっとライネスを睨む。
「ねぇ、さっきも私の事 人間って呼んでたけどさぁ、名前で呼んでくれない? 私には愛光って言う名前が在るんだからね。」
「知った事か。」
「ちょっ……。」
すたすたと歩き出したライネスの腕を思わず掴むと、彼は いつかの時のように、さっと腕を引っ込めた。
「……触るな。」
「何で触っちゃ駄目なの? 私が人間だから? 汚いとでも言いたい訳?」
思わず喰って掛かると、ライネスは僅かに動揺したようで、眉を顰めて愛光を見つめた。
「何も そんな事は言ってない。」
「…………。」
「別に お前じゃなくたって、触られたら振り払う。」
その言葉に、愛光は ぽかんと口を開けた。
「何で?」
「……別に何だって良いだろ。」
そう言って逃げるように歩き出したライネスに、愛光は声を投げ掛ける。
「兎に角、私の事は愛光って呼んでよね!」
「断る。」
「もうっ。」
愛光は頬を膨らませ、仲間達と共に宿へ向かった。