予言と未来



夜。



宿のベッドで、愛光は ごろごろしていた。



(……お前じゃなくたって、触られたら振り払う、かぁ……。)



夕方のライネスの言葉を思い出して、愛光は ふふっと笑う。



ライネスに対する この気持ちは心の奥に隠しておこうと決めた愛光だが、それでも彼に嫌われていた訳ではないと知ると、自然と笑みが零れる。



そんな愛光の横に、リホが腰掛ける。



「ねぇ、アイカさん。」


「なぁに?」


「ひょっとしてアイカさん、ライネスの事 好きですか?」


「へっ?」



突然のリホの発言に、愛光は目を見開いた。



「あ、図星ですね。」


「そ、そんな事 無いからっ。」


「ふふ、今更 誤魔化したって駄目ですよ。」


「…………。」



リホの言葉に、これ以上 隠しても無駄だと悟った愛光は、渋々 頷いた。



「何で解ったの?」


「ライネスが好きな身として。後は夕方の、名前で呼んでって言うアイカさんの言葉。」


「え~……。」



そんな事で ばれてしまうなんて、何だか哀しい。しかし愛光は、リホに向かって微笑んだ。

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