予言と未来
「ライネス!? 何 言ってんの?」
「まさか、お前から地界に行くと言い出すなんて。」
愛光とヴィルの声が被る。
「話は良いから、さっさと連れて行けよ。」
不機嫌そうに呟くライネスの腕を、愛光は引っ掴んだ。
「ライネス!」
しかし愛光の視界は ぐらりと揺れ、気付くと、地面に尻餅を付いていた。ライネスに振り払われたのだと気付くのに、時間は大して掛からなかった。
「……人間、こんな俺を好きだと言ってくれて、嬉しかったぜ。」
ライネスの微笑。
――寂しい。
彼から、そんな言葉が伝わって来た気が した。
魔法が弱いからと言う理由でいじめられ。
苦しみから悪魔を召喚し。
彼等に家族を殺されて。
自分の罪を償う方法も解らず。
ライネスは ずっと、孤独だったんだ。
愛光にも その気持ちは解る。彼女も人界で、クラスメートに無視され、友達に裏切られた。しかし、心の奥底に在るのは、苦しいだとか、辛いだとか、そう言う感情だった。
――寂しい。
独りじゃないよと伝えたいのに、言い方が解らない。
「……じゃあな。」
彼が浮かべた精一杯の作り笑い。それが愛光の脳裏に焼き付いた時。
ヴィルとライネスの姿は、その場から掻き消えていた。