予言と未来
「……ねぇ。」
暫し逡巡し、愛光は口を開いた。
「ん?」
「あのさ……もし私が居なくなったら、どうする?」
「……愛光 転校するのっ!?」
友美の叫び声に驚いたクラスメートが此方を見たのに気付き、愛光は慌てて人差し指を口に当てた。
「ちょっ、声 大きい! もしもの話だってば!」
「あぁ、うん、もしも、ね……。」
友美は びっくりしたぁ、と息を吐いた。
「愛光が居なくなっちゃったら……嫌だよ……?」
友美は哀しそうに目を伏せた。
「嫌?」
「寂しいし、哀しいし……私、愛光しか友達 居ないし……学校 来れなくなっちゃうよ……。」
「……友美……。」
友達の哀しそうな顔に、胸が苦しくなる。
(……そうだよね……。)
此処には、祖母も、友達も居る。
愛光を必要としてくれている人達が居る。
知らない世界で、知らない人達の為に戦う理由も、責任も、義務も無いのだ。
(それに……。)
悪魔と戦う、なんて。
(死んじゃうかも知んないもんね。)
やっぱり、1週間後、リホが訪ねて来たら、断ろうと愛光は決めた。