予言と未来







それぞれが、使える魔法の中で1番 威力が高いものを使う。仲間の背中を護りつつ、攻撃を当てようと試みる。



愛光達がライネスとウィロアと戦い始めてから、既に1時間程 経っていた。



戦闘場所から少し離れた所で、リホが この世界の女神であるイラ様を召喚する為に、森羅万象に宿る全ての神霊に呼び掛けている。彼女を護るように、レイムが透明な結界を張って、ウィロア達の動きに注意を払っている。



(いざとなったら、うちが身を挺してでもリホを護るんだから!)



レイムは強く強く それを思い、結界を更に強くして行く。



兄が言っていたように、天使は護るのが全てなのだから。



――護るのが。



目の前で繰り広げられている戦いは、どちらかと言えばライネスとウィロアの方が優勢なようだ。



4対2と人数では優っているものの、やはり悪魔でも上の地位であろうウィロアは実戦経験が豊富なようで、身のこなしが軽やかな上に、使う魔法も強力だ。前回はルーヴに押されていたのに、あれから更に経験を積んだのか、彼と1対1で対等に戦っている。



一方、愛光達と旅を していた頃 魔法の威力が極端に低かったライネスは、悪魔の力が覚醒した所為か、雷の神霊を使った魔法は一切 発動していない。その代わり、彼が悪の神霊に呼び掛けるだけで、生命力が吸い取られて行くような、嫌な感じを ひしひしと感じる。鋭く研がれた剣にも、愛光達は苦戦しているようだ。



レイムは ちらっと後ろを振り返る。



約1時間、魔法を発動し続けているリホの額には、じわじわと汗が浮かんで来ている。幾ら巫女として修行を積んで来たとは言え、流石に これ以上は不味いんじゃ無いだろうか。

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