予言と未来
「最後は、自分の罪に押し潰されて、死ぬつもり? ううん。押し潰されてしまうくらい、罪を重ねるつもりなのね?」
「…………。」
ライネスは、俯いたまま何も答えなかった。
「本当に、良いの?」
アリィが問い掛けた瞬間。不意に、ライネスは地面を蹴った。
何が起こったのか、誰も解らなかった。
ライネスは、馬乗りに なった相手の喉元に、剣を当てていた。
「……ライネス……。」
地面に仰向けに打ち付けられた相手――愛光は、彼の名を ぽつりと呟いた。
かつて、想いを打ち明け合った2人――。
「アイカ!!」
ウィンが叫んだが、誰も動けなかった。少しでも動けば、愛光の首が飛ぶかも知れない。
「……それ以上、何も言うな。」
愛光を見つめながら、彼女ではない存在に、ライネスは語る。
「……まだ、子供なんだ……言われたら、決心が鈍る。」
感情を押し殺した声で、ライネスは囁く。
「……俺は、こいつを殺して……予言を……。」
言葉を続ける内に、彼の声は どんどん掠れ、震えて行く。
「……俺は……っ。」