予言と未来
「いけ、にえ……。」
「最も罪深き者が生贄に なるのは当然じゃろう?……のう、穢れた混血よ。」
女神がライネスを見遣る。
彼は……微笑んでいた。
「はい。覚悟しております。」
「何だよ、それ!?」
ウィンが、ライネスに向かって怒鳴った。
「どうゆう事だよ!? 今迄 一緒に旅を して来た仲間を生贄にして、世界を護る!? 幸せに なる!? そんなの おかしいだろ!?」
「混血が悪魔を召喚しなければ、こんな事には ならなかったじゃろう!」
ウィンの言葉を、女神が否定する。ウィンは尚も何か言おうと口を開いたが、その口から言葉が紡ぎ出される事は無かった。
愛光は、血の気の失せた顔で、女神を見つめた。
世界の頂点に立つ この女性は、ライネスの命と引き換えに、2界を護れと言っているのだ。
其処で、予言の一部が頭を掠める。
――裏切り者は死に……。
これが全て、予言に定められた運命だと言うのか。
1人の命と、何億もの命。
確かに、護るべきは後者の方かも知れない。
それでも。