予言と未来
「……もう、疲れたんだ。」
彼は掠れた声で呟いた。
「大罪を犯した自分が、生き残ってしまった事も。村人から、蔑みの視線を向けられるのも。
誰も助けてくれない この世界で、小さく蹲って、息を殺して……そうやって生きて行くのが、もう嫌なんだ。
周りと関わる度に、ああ、俺は この人達とは違うんだって実感して。存在価値すら解らなくなって。自分が此処に居てはいけないんだって、思い知らされる。
弱い自分を護る為に優しさから目を背けて、周りを傷付けて、それで蔑まれて、“此処”に居たくなくなる。
堂々巡りの生き方。
それしか出来ない自分が、大嫌いで、
死ぬ勇気すら持てない自分が惨めで。
悪魔の囁きに乗ってしまった自分が……。」
其処で、ごぽっと、ライネスの口から血が溢れた。
「……ライネス……っ。」
「頼むよ、最期くらい、この世界の為に、何か させてくれ。罪を償う為に、生贄に なりたいんだ。」
「ならなくて良いよ。ならないで、私と一緒に……。」
「頼むよ、
――アイカ。」