予言と未来
英語の授業で隣の人と向かい合わせに なって音読する時も、体育で2人1組に なって体操を する時も。
愛光は いつも1人だった。
クラス全員が、美雪の言いなりだった。
友美は いつの間にか、美雪のグループに入っていて……愛光と居た時と同じように、笑っていた。
1人で帰宅しながら、愛光は ぼんやりと空を見上げた。
1人でも、平気だ。
元々 1人で行動するのが好きだし、仲良くもなかったクラスメートに無視されたって、どうって事 無い。
それよりも愛光の胸を締め付けたのは――唯一の友達だった友美が、自分を裏切ったと言う事実。普通に笑っていると言う事実。
「……友美……私達、友達、だったよね……?」
ぽつりと呟いた言葉は、誰も居ない道路に吸い込まれて行った。
(……失敗、したなぁ……。)
両親や祖父の時のように、大切な人を失った時の あの苦しみを味わいたくなかったからこそ、友達なんか創らないと決めていたのに。
友美は、いつの間にか愛光の中で、大きな存在に なっていた。
(……友美……。)
もう2度と話す事は無いであろう親友の顔が頭に浮かんで、愛光は唇を噛み締めた。