予言と未来
目の前に、木や草が全く無い荒野が広がる。其処に居た人物を見て、愛光達は神霊を両手に集め、身構えた。
荒野に立ち、何も見えない空間に攻撃しているのは、ヴィルとウィロアだった。愛光達の存在に気付いた2人は、ゆっくりと振り返る。
「何してるの!?」
強気に喰って掛かった愛光を見て、ヴィルが面白そうに眉を上げる。
「おや、あんたは確か、ライネスの仲間だとか ほざいてた人間じゃないか。」
「良いから質問に答えて!」
きっと睨み付けると、ヴィルは ふっと笑った。
「見て解らないか? 結界を内側から壊そうと しているんだ。」
「……何の為に?」
「ふっ、決まっている。空界を滅ぼす為だろ。」
ヴィルは愛光達に向き直った。
「10年前に結界に綻びが生じ、悪魔が空界へ来れるように なったが、それは俺やウィロアのような、力の強い者だけだ。力の弱い者達を此処へ送り込む為には、俺達の力が必要だった。今回、空界を滅ぼす為、悪魔 全員が この地へ来る事に なったんだ。その為に、結界を壊す。仲間達が来やすいようにな。」
「皆さん!」
ヴィルの言葉を聞いたリホが、皆に向かって叫ぶ。
「現在の結界が壊されてから新しい結界を創ったのでは、意味が在りません。悪魔達を空界に閉じ込めてしまうだけです。あの人達を結界の外へ押し出し、直ぐに結界を創る必要があります!」
「そんな事 出来るの!?」
レイムの問いに、リホは頷く。
「レイムさん、ルーヴさん、私の3人で結界を創ります。その間、残りの人達は彼等を結界の外へ押し出して下さい。結界が完成したら、皆さんは結界に力を注ぎ、大爺様が仰っていたように、強力な物に して下さい。タイミングが重要ですが、私達なら出来る筈です!」
リホの力強い言葉に、皆は頷いた。