予言と未来



「奪わなくても、明るい未来を手に入れる事は出来るよ!」


「地界を知らない あんたに言われる筋合い無いわ!」



確かに、そうかも知れない。それでも。



空界に来る前、唯一の友達に裏切られて、祖母が亡くなって。この世界から消えてしまいたいと、切実に願った。



確かに、不幸だった。



けれど。



もしかしたら、愛光が気付かなかっただけで、その不幸を超える幸せが、直ぐ近くに転がっていたかも知れないのだ。



見ようと、しなかっただけで。



「それぞれが それぞれの形で幸せを手に入れれば良いの! 弱者を蹴落として手に入れる幸せに、何の価値が在るのよ!?」



愛光の言葉に、彼女の目の前に居たウィロアと、ウィン達と戦っていたヴィルが息を飲んだ。



その瞬間。



「光波(ライトウェーブ)!!」



有りっ丈の光の神霊に呼び掛けて、巨大な光の波を作り出す。それは何故か仲間達を擦り抜け、ヴィルとウィロアのみを吹き飛ばした。



2人の躰が、先程迄 攻撃していた空間に ぶつかる。愛光の目には見えないが、恐らく其処が結界の綻びの部分なのだろう。



「皆さん、準備 出来ました!」



タイミング良く、リホの声が辺りに響く。丁度 悪魔2人は空界から僅かに出た所だ。



今 結界を張れば、ヴィル達を外へ押し込めるかも知れない。そう思い、愛光達は、リホ達が作った結界に神霊を注ぎ始めた。

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