予言と未来
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リホ達が創った結界に愛光達が神霊を注ぎ込み、空界 全体を覆える程 大きな結界を張った その瞬間。
「こんな所で……今迄の行為を無駄に して堪るか!!」
恐ろしい形相で、ヴィルが叫んだ。そして彼は、綻び掛けた古い結界を足掛かりに助走を付け、愛光達の目の前へ飛び出した。
「お願いだから、もう帰ってよっ!!」
悲鳴のように愛光は叫ぶと、光玉(ライトボール)をヴィルに ぶつけた。それでも彼は怯まず、愛光の腹を蹴り飛ばした。
「アイカっ!!」
レイムが名を呼ぶのが聞こえる。失いそうに なる意識を必死に手繰り寄せ、愛光は地面に ぶつかる衝撃を軽くしようと受け身を取った。
張り掛かった結界は、リホ達が一呼吸しただけで いとも容易く張れてしまう事が解る。ヴィルが空界に居る今 張ってしまえば、彼は この世界に留まる事に なり、最悪の場合、彼1人の力だけで、空界は滅ぶだろう。
(……もう少しなのに……っ。)
空界に残るのがヴィル1人であるならば、愛光達が力を合わせれば、彼の命を奪う事は簡単かも知れない。しかし、ライネスの命を救うと決めた以上、例え敵であっても殺したくない事は、言葉に せずとも、皆が思っている事だった。
「俺は……俺は……っ!!」
叫んだヴィルの躰から、とてつもない量の悪の神霊が吹き出す。皆は咄嗟に腕で顔を庇った。
「な、何だよ これっ!」
「恐らく、底力と言うものですね……彼は どうしても、地界を光で照らしたいようです。」
「冷静に分析してる場合じゃねェだろっ!」
ウィンがリホに突っ込んだ瞬間、仲間達の躰は吹き飛ばされた。