予言と未来
帰宅すると、様子が おかしい事に気が付いた。
最近 愛光が夕食を作っていると言っても、祖母は毎晩 起きて彼女を出迎えてくれる。
どんなに具合が悪くても。
それなのに、台所は電気が付いておらず、真っ暗だった。
(……具合……相当 悪いのかな……?)
不安に なって、急いで鞄を机の上に置くと、祖母の寝室の襖に手を掛けた。
「お祖母ちゃん? 只今。具合悪いの?」
声を掛けながら襖を開けて。
愛光は、驚愕に目を見開いた。
布団から離れた、電話が置いてある机の近くに。
祖母は、倒れていた。
左手は胸に当てられ、右手は電話に伸ばされ、俯せに。
まるで、誰かに助けを求めるかのような格好。
「……お、ばあ……ちゃん……。」
何が起こったのかを一瞬で理解した愛光は、祖母に駆け寄ると、その躰に触れた。
冷たく、固まった躰に。
「……嫌……嫌だよ……! お祖母ちゃんっ!!」
その躰に生命が宿っていない事が解り、愛光は発狂した。