予言と未来
予言と未来
「もう、1ヶ月も経ったんだね。」
村から少し離れた荒野の真ん中に、小さな お墓が在った。その前に跪き、手を合わせ、愛光は小さく笑った。
元は雷龍が建てた家が在った場所。今は その家は取り壊されて、代わりに お墓が建っている。
「私は元気だよ……ライネス。」
予言に謳われた戦いが終わり、愛光達は大爺様の元へと帰った。
其処で戦いの傷を癒し続けて1ヶ月。
空界は、驚く程 平和だった。
悪魔が この地を襲っていた事等 嘘だったかのように。もう誰かが傷付く事も、泣く事も無い。
「……ライネスが生贄に なってくれた お陰だね。」
初めは受け入れられなかった。女神イラを、心の底から睨んだ。
けれど、1ヶ月 考え続けて、現実を受け入れる事が出来るように なった。
あの時のライネスは、本当に幸せそうな顔を していたから。
「もっと、話したかった。もっと、貴方を知りたかった。でもね、貴方が決めた事だから、受け入れる事に したよ。」
そう呟いて、お墓に笑い掛ける。
ライネスに、その言葉が聴こえていると、信じて。