予言と未来
愛光の答えは、皆が予想していたものでは無かったのだろう。皆は驚愕に目を見開いた。
「アイカ、理由を訊かせてくれぬか?」
「……私は此処で、沢山の大切な仲間に出逢えたからです。」
答える愛光の顔には、明るい笑みが浮かんでいた。
「人界に居た頃の私は、唯 生きていただけでした。何の感情も持たないように。そうすれば、傷付かなくて済むから。
でも、空界に来て、皆と一緒に旅を して、気付いたんです。傷付く事を恐れては いけない。自分を殺しては いけないって。
今の私は、空界に来なければ、決して居なかった私です。此処に来なければ、私は私として生きては いませんでした。
私は、本当の自分に逢わせてくれた、この世界で生きたいんです。」
「……本当に良いんですか、アイカさん。」
そう訊いたのは、リホだった。
「もう、向こうへは戻れないんですよ? 大切な方は、居ませんか?」
その言葉に、愛光は僅かに俯いた。
(……大切な人……。)
居る。今なら会える、人。
「……居るよ。でも、もう決めたから。」
そう答えると、リホは微笑んだ。
「解りました、行きましょう。」
「え?」
「人界に行ける、最後のチャンスです。お別れを言いに行きましょう。私が責任を持って連れて行きます。」
その言葉に、愛光は頷いた。