予言と未来
「……着きました。」
リホの声に目を開けると、其処には美しい風景が広がっていた。
木、森、山、川、草花。
日本では もう殆ど見る事が出来ない大自然。
「これから、私の村の長老――大爺様に会って頂きます。」
「大爺様、ですか?」
愛光が訊き返すと、リホは にっこりと笑った。
「はい。予言に出て来る者達を集めているのは、大爺様ですから。」
リホの後に付いて、愛光は歩き出す。
「実は、アイカさんが来ると決断して下さった段階で、神霊を使って、大爺様に連絡させて頂きました。もう村の大広間には、仲間達と村人が集まってる頃ですよ。」
「……え?」
それって、つまり。
「皆の前で、紹介させて頂きますね。」
「ええぇ!?」
そんなの聞いてないよ、と愛光は叫んだ。
全ての幻獣が、リホのように穏やかで優しければ良いが、人間なんて、とか言い出す人も居るんじゃないだろうか。
そんな愛光の不安を読み取ったのか、リホは優しく微笑んだ。
「大丈夫ですよ。皆、英雄である愛光さんを、待っていますから。」
「英雄って……。」
(……私、まだ何も してないのに……。)
「私も付いてますから。」
そう言って笑ってくれるリホに、うん、と愛光は頷いた。