予言と未来



「生き残ったのは彼だけですから、予言に出て来る龍族は、必然的に彼に なるんです。」

「……それでな。」



それ迄 近くで黙って愛光達の話を聞いていた大爺様が、口を開いた。



「5人 揃った事だし、皆で あやつを迎えに行ってくれぬか。」

「えぇー!?」



大爺様の言葉に、ウィンが あからさまに嫌そうな顔を する。



「何で あたし達が あいつなんか!」

「ウィン、お主は空界を守りたいんじゃろう?」

「うっ……それは……。」



大爺様の言葉に何も返せなくなったウィンは、目を反らす。



「解りました、大爺様。」



愛光は素直に頷く。

正直、集会――人界で言うミーティングのような ものだろう――に来ない人を仲間に するのなんて気が進まないけれど。



(郷に入れば郷に従えって言うし……。)



大爺様は とても偉い人だろうから、従うべきだと愛光は思ったのだ。



「じゃ、行こっか!」



気を取り直したウィンが、手を差し出す。



「あたし達、今日から友達だから! タメ口な! 仲良くしようぜ!」



ウィンの言葉に皆は頷き、手を重ねた。



(……お祖母ちゃん。)



凄く必要と されている所為か、友達とか仲間とか、今迄 嫌だった筈の言葉が、苦痛じゃない。



(……私、頑張るよ。)



愛光は小さく、微笑んだ。

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